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杉本 純
JAERI-M 88-262, 129 Pages, 1989/01
本報告においては、PWRにおける想定事故である大破断冷却材喪失事故(LOCA)時再冠水期における熱水力挙動について記述している。原子炉安全解析における再冠水期の熱水力挙動をより良く記述することを目的として、(1)逆スラグ流中の飽和膜沸騰熱伝達相関式の開発(2)炉心熱水力挙動に及ぼすグリッドスペーサの影響に関する解析モデルの開発(3)一次系システムの熱水力挙動解析コードの開発、及び(4)核燃料棒と模擬燃料棒の熱的応答の類似性に関する解析モデルの開発を行った。実験との照合等により、これらのモデルの妥当性を確認した。
大貫 晃; 岩村 公道; 安達 公道
JAERI-M 88-166, 98 Pages, 1988/09
本報告書では、平板炉心試験装置(SCTF)第一次炉心においてみられた炉心入口流量(Mi)の炉心内再冠水現象に及ぼす効果を調べる。特に炉心内の二次元熱水力学挙動に及ぼす効果に重点をおく。本研究から得られた主な結論は以下の通りである。(1)炉心入口流量が大きいほど炉心内の蓄水速度が大きく、その結果炉心冷却は促進された。また、炉心入口流量が大きいほど炉心内の上部プレナム内の蓄水速度は大きく、ホットレグを流れる水流量は増加した。(2)炉心内の二次元熱水力学的挙動、すなわちボイド率や熱伝達率の半径方向の差といったものは炉心入口流量の大きさによらずほぼ同程度であった。(3)熱伝達率の炉心入口流量に対する依存性は、水流量補正係数を含む修正村尾・杉本の式により定性的に表すことができた。定量的には同相関式は熱伝達率をわずかに過小評価した。炉心内の循環流の評価により過小評価の原因を考察した。
大貫 晃; 安達 公道; 村尾 良夫
Nucl.Eng.Des., 107, p.283 - 294, 1988/00
被引用回数:64 パーセンタイル:97.59(Nuclear Science & Technology)傾斜管付き水平管内気液(水/空気及び蒸気/飽和水)対向二相流制限(CCFL)に対する流路寸法の効果を調べた。本形状は加圧水型炉のホットレグを模擬している。 従来の実験相関式では、実寸規模(内径0.75m)のデータを予測できなかった。小型実験での流動観察により解析モデルを導出し、種々の圧力での種々の寸法の実験にあてはめ寸法効果を評価した。 小型実験での評価より、主要な対向流制限の存在する領域が、傾斜管の長さが長いほどベンド部側水平管内から傾斜側へシフトすることがわかった。 このシフトの程度は、より大きな内径の流路では小さくなった。高圧の場合にも、シフトが生じることが推定された。
大貫 晃
JAERI-M 85-219, 19 Pages, 1986/01
環状流および層状流の流動様式を示す円管内での空気-水対向流制限(CCFL)のデータを使い、TRAC-PF1/MOD1の予測性能の評価を行った。形状パラメータとして長さ、内径、傾斜角度をとり、加圧水型炉のホットレグを模擬した傾斜管付き水平管のデータに対しても評価を行った。環状流の相関摩擦係数に対しては、Wallis型およびBharathan型の2種類の相関式を調べた。データとの比較から、Wallis型の相関式のほうが落水が止まる点(バイパス点)をよく予測した。一方落水を生じる領域ではBharathan型のほうがよりよい予測を示すものの、正確な予測のためには円管の上下端に付加的な形状損失係数が必要なことがわかった。層状流およびホットレグ模擬管のデータに対しては、バイパス点を与える空気流速を過小評価するものの落水を生じる領域に対してはよい予測を与えた。
杉本 純; 須藤 高史; 村尾 良夫
Journal of Nuclear Science and Technology, 23(4), p.315 - 325, 1986/00
被引用回数:3 パーセンタイル:40.89(Nuclear Science & Technology)本研究の目的は、典型的なPWR-LOCA時再冠水条件下において、実験で多く使用している電気加熱式模擬燃料棒と核燃料棒の熱的応答の特性を解析的に明らかにすることである。このため Malang による HETRAPコードの手法を基に燃料棒内半径方向温度分布モデルを開発し、再冠水解析コードREFLAに組込んだ。既存の再冠水試験に対する計算と実験との良好な一致により、本解析モデルの妥当性を確かめた。核燃料棒は、電気加熱式模擬燃料棒に比べてギャップ熱伝達率や被覆管の熱容量が小さいため、被覆管温度応答は一般に低く、かつクエンチ時刻は早くなる傾向のあることを解析的に明らかにした。また被覆材にジルカロイを用い、かつ被覆管・燃料間に適当なギャップを設けることにより、核燃料棒の熱的応答を電気加熱式燃料棒で良く模擬し得ることを示した。
大貫 晃
Journal of Nuclear Science and Technology, 23(3), p.219 - 232, 1986/00
加圧水型炉、冷却材喪失事故時のシステム内および炉心内の熱水力挙動を評価するさい、ホットレグでの対向流抑制(CCFL)は蒸気発生器への水流量および圧力容器内上部プレナムへの水流量を決めるため重要となる。ホットレグでのCCFLを評価するため、テスト部として傾斜管付き水平管をホットレグ模擬流路とし、実験的にその流路でのCCFL特性を解明した。模擬実験の結果、定常分離流でのデータに対しては Wallis型の相関式(Jg+mJe=C)が適応できた。しかし水プラグを伴う非定常流では適応できなかった。包絡線理論に基づく解析により、定数Cは水平管部長さと流路直径の比および傾斜管部長さの関数となるべきことを示した。この関数はRichterらの結果を十分予測した。定数mは本実験データに対してほぼ一定値、0.75となった。この定数Cの関数およびm=0.75により非定常流の場合を除く本実験のデータが整理できた。
杉本 純; 村尾 良夫
JAERI-M 84-131, 223 Pages, 1984/06
PWR-LOCA時再冠水熱伝達に及ぼすグリッドスペーサーの影響を調べるための実験を行った。模擬炉心中央部のグリッドスペーサを移動させてグリッドスペーサの近傍での流動熱水力応答、およびグリッドスペーサ板厚の影響を調べた。クエンテ前の熱伝達率は、グリッドスペーサ直上では直下に比べて約20~50%増加した。液滴分散流領域ではグリッドスペーサ上方での液滴の細分化が、またスラグ流領域ではグリッドスペーサの早期リウェットおよびグリッドスペーサ近傍への蓄水の像かが観測された。このためグリッドスペーサによる熱伝達率の増加は、液滴分散流領域での液滴表面積の増加と、スラグ流領域での膜沸騰熱伝達の像かな主な原因と推察された。本実験に基づいて再冠水グリッドスペーサモデルを開発した。本モデルにより、グリッドスペーサ近傍での熱水力挙動が良く予測されることがわかった。
刑部 真弘; 数土 幸夫
Journal of Nuclear Science and Technology, 21(2), p.115 - 125, 1984/00
被引用回数:2 パーセンタイル:29.96(Nuclear Science & Technology)PWR-LOCA時再冠水過程において、クエンチフロントの直上に、膜沸騰熱伝達領域が存在すると考えられている。この領域の飽和膜沸騰モデルとして、two-region modelと呼ばれるモデルを開発し、試験データと比較した。再冠水時には、クエンチフロントの上に存在する激しい二相流が、蒸気膜内の乱流化を促進すると考えられる。このモデルでは、乱流境界層である蒸気膜が、二相流のmixture coreでかこまれているとした。このモデルを、平板炉心再冠水試験(SCTF)データと比較した結果、次のことが明らかになった。クエンチフロントからの距離が小さいとき、その場所の膜沸騰熱伝達は、蒸気膜とmixture coreの境界面で、剪断力Ti=Oとしたときのモデルとよく一致する。クエンチフロントからの距離が大きくなるに従い、データは境界面での速度Ui=Oとしたモデルに近づいてくる。一方、熱伝達はmixture coreのボイド率に強く依存し、低いボイド率では、高い熱伝達が得られた。
杉本 純; 村尾 良夫
Journal of Nuclear Science and Technology, 21(2), p.103 - 114, 1984/00
被引用回数:11 パーセンタイル:73.2(Nuclear Science & Technology)PWR-LOCA時の再冠水熱伝達に及ぼすグリッドスペーサの影響を実験的に調べた。模擬炉心中央部のグリッドスペーサを上下に移動させることにより、グリッドスペーサ近傍での流動状況、熱伝達率および蓄水挙動の変化を調べた。クエンチ前の熱伝達率は、グリッドスペーサの直上では直下に比べて約20~50%増加した。液滴分散流領域ではグリッドスペーサ上方での液滴の細分化が観測された。スラグ流領域ではグリッドスペーサの早期リウェット、およびグリッドスペーサ近傍への蓄水の増加が観測された。このためグリッドスペーサによる熱伝達率の増加は、液摘分散流領域での液滴表面積の増加と、スラグ流領域での膜沸騰熱伝達の増加が主な原因と推察された。本実験に基づいたモデルにより、グリッドスペーサ近傍での熱水力挙動が良く予測されることが分った。
杉本 純; 村尾 良夫
JAERI-M 83-147, 49 Pages, 1983/09
再冠水解析コードREFLA-1Dと多ループシステムモデルを結合して、システム解析コードREFLA-1DSを開発した。本コードにより、総合システム解析コードのための再冠水モデルの検討を行った。REFLA-1DSでは、原研小型再冠水実験に基づいて開発されたREFLA-1D(一次元炉心熱水力モデル+一次系一定流動抵抗モデル)と、原研円筒炉心試験に基づいて開発された多ループシステムモデルとが結合されている。本コードの特徴は、単純なシステムモデルと解法により、高速かつ簡便な再冠水モデルの検証が可能なことである。本コードによる円筒炉心試験解析の結果、圧力容器内各部の水位の計算値は実測値とほぼ良く一致しすること、パラメータ効果に関する傾向も実験と一致すること、またモデル上いくつかの改善すべき点のあることが判明した。
須藤 高史; 村尾 良夫
JAERI-M 83-115, 98 Pages, 1983/07
本報告書は、大型再冠水効果実証試験計画の中の円筒炉心試験装置によるC1-18(Run37)とC1-8(Run17)両試験に注目し、ループシール部留水の再冠水挙動に与える影響を検討したものである。得られた主な結論を次に示す。・炉心で発生した蒸気は、ループシール部留水を再冠水後32秒で押し出して流れはじめ、65秒で押し出してしまう。・ループシール部が水でシールされている間は、炉心蓄水は低く抑えられ、炉心内熱伝達は向上しなかった。そのため、ターンアラウンド温度は高くなった。・ループレール部留水を押す力は、ダウンカマ内蓄水類により得られる。そのため、この留水を押し出し、蒸気が流れはじめるまでの時間は、ECC水の注入流量に影響された。
数土 幸夫; 傍島 真; 岩村 公道; 刑部 真弘; 大貫 晃; 阿部 豊; 安達 公道
JAERI-M 83-114, 117 Pages, 1983/07
本報告書は、PWR-LOCA時の再冠水過程で炉心から吹上げられて形成する上部プレナム蓄水の、再冠水現象に及ぼす影響を調べたものである。同一条件の強制注水の下に、炉心上部の上部炉心支持板直上にある抽水ラインのバルブを全開にして上部プレナム蓄水を抽出した実験S1-03と抽水しない実験S1-01用とを比較した。BOCREC後約200秒までは、S1-03でもS1-01と同程度の蓄水が見受けられ、炉心内挙動・ホットレグへのキャリーオーバ特性に顕著な差は見受けられなかった。しかしそれ以後では、S1-03の蓄水はS1-01より小さく、炉心中央以下での熱的挙動には差が無いものの、(1)炉心より上方及び炉心内の流体挙動の2次元性が平坦化される、(2)炉心上部でクエンチ時間が長くなる、(3)ホットレグへのキャリーオーバ水量及び炉心内蓄水が減少する、ことがわかった。
刑部 真弘; 大貫 晃; 傍島 真
JAERI-M 83-022, 26 Pages, 1983/02
PWR-LOCA時の再冠水過程開始直後における炉心上部の熱伝達は、強い熱的非平衡によって複雑なものとなっている。炉心下端から3235mmの高さで、高速度シネカメラで得た写真は、再冠水開始直後に液滴流と非加熱棒を伝わって流れ落ちる液膜を示していた。その液滴径を計測してみた結果、平均径は約1mmであった。この径は、単管内環状噴霧流で得られる値より大きい。一方、対応するウェーバー数は、従来、加速流中で得られているウェーバー数よりも少し小さい。その場所で得られた液滴流の熱伝達率は、Dittus-Boelter式で評価した対流伝熱項と、Sunらによるネットワーク解析で評価した放射伝熱項の和と、ほぼ一致した。
数土 幸夫; 刑部 真弘
Journal of Nuclear Science and Technology, 20(4), p.322 - 332, 1983/00
被引用回数:13 パーセンタイル:78.81(Nuclear Science & Technology)本研究は、加圧水型原子炉の冷却機喪失事故の再冠水過程において、燃料棒被覆管のふくらみによって生ずる流露閉塞の、炉心熱伝達に及ぼす影響について、特に流路閉塞が1燃料集合体規模で生じている場合のバイパス流れの影響とパラメータ効果に注目して調べたものである。閉塞率約60%の流路閉塞がある実規模の模擬燃料集合体2体と、健全な模擬燃料集合体6対の計8体を横一列に配置した、平板炉心試験装置で、最もありうる冷却水注入条件での強制注入実験を行い、クエンチ及び熱伝達率特性に注目して、その影響を調べた。その結果、(1)流路閉塞の影響は、流路閉塞のある集合体の流路閉塞部の下流にのみ冷却が促進する形で現われる、(2)従って流路閉塞によるバイパス流れの効果は無視できる、(3)蓄圧注入による冠水速度が、流路閉塞部下流の冷却促進に大きな影響を持つ、ことが明らかとなった。
阿部 豊; 数土 幸夫; 刑部 真弘
Journal of Nuclear Science and Technology, 20(7), p.571 - 583, 1983/00
被引用回数:6 パーセンタイル:60.89(Nuclear Science & Technology)本研究は、PWR-LOCA時の再冠水過程における炉心上部でのクエンチ現象、すなわち、トップクエンチとボトムクエンチの特性を実験的に調べたものである。炉心上部のクエンチ現象の特性は、TRACのような最適安全評価解析コードによってさえ良く予測されていない。本研究により以下のことが明らかになった。(1)炉心上部におけるクエンチ現象は、クエンチ速度とクエンチ温度の関係において、次の3つの型に分類される。(I)発熱棒におけるトップクエンチ、(II)非発熱棒におけるトップクエンチ、及び(III)発熱棒におけるボトムクエンチである。(2)発熱棒でのトップクエンチは、その発熱棒に隣接する非発熱棒を伝わり落ちる液膜の影響を受ける。(3)発熱棒でのトップクエンチ速度は、クエンチ温度の上昇とともに増加するが、それは従来の理論による予測とは反対の傾向である。(4)非発熱棒でのトップクエンチは、従来の理論と同じ傾向をもっている。
岩村 公道; 刑部 真弘; 数土 幸夫
Journal of Nuclear Science and Technology, 20(9), p.743 - 751, 1983/00
被引用回数:6 パーセンタイル:60.89(Nuclear Science & Technology)本研究は、PWR-LOCA時、再冠水過程の熱流体挙動に、炉心の半径方向出力分布が与える影響を調べたものである。実炉においては、炉心周辺バンドルの出力が、中央バンドルに比べて著しく低い。このため、所謂、煙突効果によって、炉心中央の高出力バンドルの冷却が改善されることが期待される。従来の多くの再冠水実験は、小さな炉心で行われてきたため、実炉のような大きな炉心での半径方向出力分布の効果は、調べることができなかった。1616配列のバンドル8体を一列に並べた炉心を持ち、半径方向出力分布を模擬できる平板炉心試験装置をつかって、強制注入再冠水試験を行った。この結果、次のことが明らかになった。(1)異なる半径方向出力分布でも、炉心内の実水位分布は平坦であった。(2)炉心全出力が同じ条件では、出力分布の強い試験ほど、最高出力バンドルの熱伝達率が促進された。(3)以上の原因に関しては、各バンドル間の横流れや、流れの再分配が主であると考えた。
数土 幸夫; P.Griffith*
Journal of Nuclear Science and Technology, 18(7), p.487 - 500, 1981/00
被引用回数:0 パーセンタイル:0.02(Nuclear Science & Technology)PWR・LOCA時再冠水において、非常用炉心冷却水の注入箇所としてコールドレグ注入と同時にホットレグ注入を行う場合がある。この場合の上部プレナム水の急流下現象を研究した。上部プレナムに注水する過渡炉心冷却実験と一次元準定常解析とから次の事柄が明らかとなった。 飽和水注入の場合、上部プレナムの静水圧が下部プレナム静水圧より大の時、上部プレナムの急流下現象が生ずる。この時炉心内では下向並行流である。逆に、上部プレナム静水圧が下部プレナム静水圧より小の時、炉心内では対向流となり、この時の上部プレナム水の落下水量は下向並行流の時よりはるかに小である。また、サブクール水を上部プレナムに注入した時、上部プレナム静水圧が下部プレナム静水圧よりも小なる時でも下向並行流が出現する時がある。この冷却水のサブクール度の影響の程度は、サブクール度の大きさに依存している。
中瀬 吉昭; 吉田 健三; 日馬 康雄; 伊藤 政幸; 岡田 漱平; 町 末男
EIM-80-98, p.57 - 64, 1980/00
原子力発電所用電線ケーブル絶縁材料の劣化をSEAMATE-IIを用いて行った。 SEAMATE-IIの装置事自体について、設計時に予定した性能が得られることを確認した。注目した性能は、急速過熱により所定の温度にまで達する時間と、試料位置における空間線量、及びその分布である。実測では、室温より150Cまで3秒、200Cまで35秒で上昇する。また、10KGy/hの線量率で、その均一度も1.1である。その他の性能についても満足できる結果が得られた。 本装置を使用して得られた結果の一部として、PWR-LOCA模擬条件下における実用配合試料(シート状)の同時法(放射線とその他の環境を同時に与える)と逐次法(両者を別々に与える)による劣化状況を比較したことを示した。 伸びの変化を指標とした場合、その低下が大きすぎて、明確な結論が出せないことがわかった。
数土 幸夫
Journal of Nuclear Science and Technology, 17(1), p.1 - 15, 1980/00
被引用回数:15 パーセンタイル:80.15(Nuclear Science & Technology)PWR-LOCA時の再冠水過程においては、緊急炉心冷却水の炉心注水の駆動力となるのは、炉心を取囲んでいるダウンカマー内の二相流の有効水頭である。ダウンカマー内の有効水頭は垂直二相流路での平均ボイド率特性に支配される。本報は、大気圧下の空気-水系の実験を行うと共に従来の蒸気-水および空気-水系の実験結果を検討し垂直流路でのボイド率に及ぼす、流体の物性値、流路径、二相の見掛速度の影響を明らかにした。その結果、次元解析から、澱み状態を含む水の低見掛速度範囲(30cm/s)で、蒸気-水および空気-水の双方の系で15%の誤差内で評価できる平均ボイド率の表式を得ることができた。
数土 幸夫
Journal of Nuclear Science and Technology, 17(7), p.516 - 530, 1980/00
被引用回数:33 パーセンタイル:92.53(Nuclear Science & Technology)加圧水型原子炉の仮想事故である冷却材喪失事故の再冠水過程に出現する炉心内熱水力現象の一部を形成する、膜沸騰熱伝達について、その現象を明らかにし安全解析コード開発に資するため、PWR-FLECHT実験結果の検討と単一発熱体実験を行なった。その結果次のことが明らかとなった。入口サブクール度,入口流速および発熱体出力から決るクエンチ点の局所のサブクール度?Tsubが熱伝達率を支配する大きな要因であること、?Tsubが零である時の飽和膜沸騰熱伝達率hc,satは、クエンチ点から注目する位置までの長さを代表長さに取る事によってBromleyタイプの表式で表わされること、?Tsubが零でないサブクール膜沸騰熱伝達率hc,sabは?Tsubとhc,satとで簡単な表式、hc,sub/sc,sat=1+0.025・?Tsub(?Tsub:C)、で表わされることがわかった。この表式は実験結果を20%内の誤差で評価できる。